会場・ウェブ合わせて総勢574名が議論
連合は10月31日、アートホテル日暮里ラングウッドにおいて2026春季生活闘争中央討論集会を開催しました。同集会には、構成組織、地方連合会および関係団体などから574名(会場:192名、Web:382名)が参加し、第1回中央執行委員会(10月23日)で確認した2026春季生活闘争基本構想にもとづいて活発な討議を行いました。
冒頭、主催者を代表して芳野会長は、「賃上げノルムを定着させ、デフレマインドから完全に脱却することができるのか、日本社会全体の正念場だ。私たち一人ひとりが『未来づくり春闘』をけん引する主役であることを自覚し、それぞれに求められる役割と責任を果たしていこう!」と、力強く決意の一端を述べました。
続いてお二方から基調講演をいただきました。
はじめに、渡辺努氏(ナウキャスト創業者・取締役、東京大学名誉教授)から、「脱グローバル化の下での賃金と物価」というテーマでお話しいただきました。渡辺氏からは、「賃金と物価の健全な循環への移行に向けては、賃上げへの期待形成が重要である。過去のインフレ実績ではなく、将来のインフレ見通しを要求基準に反映させることが望ましい。」などと、賃上げ要求の組み立て方についての提言をいただきました。
続いて、市川正樹氏(連合総合生活開発研究所所長)から「日本経済の現状と見通し」をテーマに、米国・トランプ関税や国内政治の混迷が賃上げに与えうる影響等についてご講演をいただきました。
その後、3つの関係委員会における2026春季生活闘争基本構想についての討議経過について、安河内労働条件・中⼩労働委員会委員⻑、堀谷労働法制委員会委員⻑、櫻田ジェンダー平等・多様性推進委員会委員長がそれぞれ報告しました。
そのうえで、仁平総合政策推進局⻑が提起した2026春季生活闘争基本構想にもとづき、全体討論を行いました。出席者からは、「中小企業や労働組合のない職場で働く方も含め、みんなの賃上げをあたりまえにし、格差拡大に歯止めをかけるべき」「持続的な賃上げに向けて、すべての産業で価格転嫁が実現できるよう、連合には引き続き、強力な発信と旗振りをお願いしたい」「中小組合の賃上げに向けて、連合には『地方版政労使会議』等を通じ、さらなる賃上げの促進と全国的な機運醸成をはかっていただきたい」「人材確保のため、賃上げのみならず、勤務間インターバル協定の締結や年間休日数の引き上げなど、働き方の改善も重要だ」「『つながらない権利』の確立など、心身の健康維持、長時間労働の抑制、生活時間の確保といった、労働者の立場に立った働き方の実現に取り組んでいく」「女性が安心して働き続けることができるよう、取り組みをお願いしたい」等、2026春季生活闘争に前向きに臨む積極的な発言が多く出され、活発な意見交換となりました。
全体討論後、神保事務局⻑が当日の議論を総括した上で、「多くの人から賃上げはもちろん、労働時間についてもご意見いただいた。本日いただいた意見をしっかりと受け止め、みなさんと思いを一つにし、連携を強化しながら取り組んでいきたい。」と呼びかけました。
最後に、労働法制委員会の大方副委員長が労働時間規制に関する緊急アピール(案)を提案しました。出席者一同で同アピールを採択し、働く者のいのちと健康を守り、豊かな生活時間を確保するため、すべての働く仲間の力を結集し、「働き方改革」のさらなる前進に向けた法改正を実現することを誓い合い、集会を締めくくりました。