事務局長談話

 
2026年07月21日
「日本成長戦略」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 神保 政史

1.成長戦略実現には誰もが能力を発揮し安心して働き続けられる環境整備が不可欠
 7月21日、政府は「日本成長戦略」(以下、成長戦略)と「地域未来戦略」を閣議決定した。成長戦略は「17の戦略分野を中心とした官民連携による危機管理投資・成長投資」と「国内投資を全国に拡げていくための8つの分野横断的な課題への対応」を柱とし、「強い経済」の構築により「GDP拡大の好循環を実現する」としている。しかし、成長戦略には、その実現を担う労働者が能力を最大限発揮でき、安心して働き続けられる環境を整備する観点が欠けている。成長分野への投資だけでなく、すべての産業・企業で働く労働者に対する「人への投資」が不可欠である。また、地域の持続的成長、若者や女性に選ばれる地域づくりには、固定的性別役割分担意識など、女性が働き続けることを阻む構造的課題の解消をはかることが重要である。

2.真の「働き方改革」に向けた労働時間法制の実現や、「人への投資」の強化が必要
 「分野横断的課題への対応」として示された「労働市場改革」では、労働時間法制について、「夏以降の労働政策審議会において議論を行う」とされたが、長時間労働を助長しかねない裁量労働制の拡充などは行うべきではない。いま必要なのは、長時間労働の是正と生産性向上を両輪で進める真の「働き方改革」であり、勤務間インターバルの義務化や連続勤務制限規制の導入など、その土台となる労働時間規制こそ実現させるべきである。あわせて、すべての働く者に対するリスキリング推進などの「人への投資」を、社会全体で強化する必要がある。

3.価格転嫁・取引適正化に向けた取り組みを徹底し、中小企業等への支援を
 成長戦略において「物価上昇を年1%程度上回る賃金上昇を賃上げのノルムとして我が国に定着させる」ことを賃上げ環境整備の目標として堅持したことは評価できる。実質賃金を安定的にプラスにしていくには、中小企業や労働組合のない企業への賃上げの波及が不可欠である。そのためには道半ばである価格転嫁・取引適正化に向けた取り組みを徹底し、中小企業等支援を推進すべきである。なお、最低賃金の政府目標が毎年のように変更されるようでは中期目標として不安定であるため、合理的な目標設定のあり方を検討すべきである。

4.働くことを軸とする安心社会の実現に向け取り組む
 経済を担っているのは現場で働く人であり、成長戦略の実現には、誰もが能力を最大限発揮でき、安心して働き続けられる環境の整備や、すべての産業・企業で働く労働者に対する「人への投資」が不可欠である。連合は、引き続き働くことを軸とする安心社会の実現に向けて全力で取り組んでいく。

以 上