事務局長談話

 
2026年07月21日
「経済財政運営と改革の基本方針2026」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 神保 政史

1.「財政の持続可能性」実現には懸念が残る
 7月21日、政府は「経済財政運営と改革の基本方針2026」(以下、方針)を閣議決定した。方針は、将来世代への責任を果たす持続可能な経済社会の構築に向け、責任ある積極財政にもとづく「中長期経済財政計画」を定め、「強い経済」の構築と「財政の持続可能性」をバランスよく同時に実現するとした。しかし、債務残高対GDP比の安定的低下を目標の中核と位置付けた財政運営による「財政の持続可能性」実現には懸念が残る。また、持続可能な経済社会の構築には、誰もが能力を最大限発揮でき、安心してくらし・働き続けるため環境整備が不可欠である。

2.「財政の持続可能性」実現のため財政運営の目標は財政収支の黒字化とすべき
 方針は、「『成長戦略』の効果が十分に発揮した場合には、債務残高対GDP比が概ね安定的に低下する姿となり、『経済成長』と『財政の持続可能性』の双方が実現できるとの見通しが示された」とした。しかし、その根拠となる内閣府の試算は、高成長が実現した場合でも財政収支は赤字であり続けることも示している。「財政の持続可能性」を実現するため、財政運営の目標を債務残高対GDP比の引き下げではなく、債務残高そのものの削減に向けた財政収支の黒字化とするとともに、中長期的な財政見通しや政府の財政計画を監視・評価する独立財政機関を設置し、財政規律の強化と歳出構造の見直しを進めるべきである。

3.持続可能な経済社会構築には安心してくらし・働くための環境整備が不可欠
 持続可能な経済社会の構築には、誰もが能力を最大限発揮でき、安心してくらし・働き続けるための社会基盤である医療・介護・福祉サービスの担い手確保が必要であり、そのためには他産業と遜色のない処遇改善の実現と働きやすい職場環境の整備が不可欠である。また、税による所得再分配機能の強化や中低所得者の負担軽減と就労支援に向けて、「給付付き税額控除」の仕組みを早期に構築すべきである。なお、本格導入までの「つなぎ(経過措置)」は、高所得者ほど恩恵が大きく非効率な政策であることや、経過措置終了後の税率引上げが困難であること、現場の混乱など多くの課題が指摘されている飲食料品の消費減税ではなく、制度の連続性・親和性を考慮し給付で対応すべきである。

4.持続可能な経済社会の実現に向けて全力で取り組む
 持続可能な経済社会とは、「財政の持続可能性」が確保されるとともに、誰もが能力を最大限発揮でき、安心してくらし・働き続けることのできる社会である。連合は、引き続き働くことを軸とする安心社会の実現に向けて全力で取り組んでいく。

以 上