2025年12月16日
2025年度補正予算成立に対する談話
1.当面必要な施策は盛り込まれたが、緊急性が高いとは言えない施策が多い
12月16日、参議院本会議において2025年度補正予算が賛成多数で成立した。補正予算には、足元の物価高への対応や医療・介護などの処遇改善・経営支援をはじめ、国民が当面必要とする施策が一定程度盛り込まれた。一方で、基金への支出や予備費の積み増しなど、緊急性が高いとは言えない施策も多数含まれており、補正予算本来の目的から乖離していると考える。また、総額はコロナ禍後の補正予算として最大となる18.3兆円、新規国債発行額は11.7兆円にのぼり、規模が大き過ぎると指摘せざるを得ない。
2.物価高に苦しむ中低所得者へのさらなる支援が必要
「生活の安全保障・物価高への対応」として挙げられた医療・介護などの処遇改善や経営支援、介護事業所・施設のサービス継続に対する支援は、国民の安心への寄与が期待できる。また、ようやく実現した自動車安全特別会計からの繰入金の一括返還は、財源の枯渇が不安視されていた自動車事故被害者に対する支援制度の持続性向上につながるものと考える。一方で、足元の物価高への対応として厳冬期の電気・ガス代支援や物価高対応子育て応援支援、重点支援地方交付金の拡充などが行われるが、物価高に苦しむ中低所得者へのさらなる支援が必要である。
3.持続可能な財政状態を維持するため、財政規律を強化すべき
「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」「防衛力と外交力の強化」として挙げられた施策には、基金への支出をはじめ緊急性が高いとは言えない施策や、年度の当初予算で計画すべき施策が多数含まれている。なかでも、防衛力整備の前倒しは、国民に対し、その必要性や妥当性を丁寧に説明する必要がある。さらには、「今後の備え」として、予備費の積み増しが行われる。2025年度末の国債残高は1,100兆円を超える見込みとなっており、このままでは利払い費の膨張が政策経費を圧迫し、自然災害やコロナ禍などのような危機への対応に必要な措置を講じることも困難となるおそれがある。今こそ中長期的な財政運営を評価・監視する独立財政機関を設置し、財政規律の強化と歳出構造の不断の見直しに取り組むべきである。
4.誰もが安心して働きくらし続けられる社会の実現に向け、全力で取り組む
間もなく2026年度予算案の審議が始まる。2026年度予算案は、概算要求の段階で過去最大を更新しており、2025年度補正予算で計画された施策とあわせて、国会審議を通じてその必要性や妥当性を十分に精査することが必要不可欠である。連合は、誰もが安心して働きくらし続けられる社会の実現に向け、引き続き政策・制度要求の実現に向け全力で取り組んでいく。
以 上