2025年11月06日
「労働政策審議会労働条件分科会電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律の在り方に関する部会」報告書に対する談話
1.スト規制法存続の結論が示されたことは遺憾
11月6日、労働政策審議会労働条件分科会電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律の在り方に関する部会(部会長:中窪裕也 獨協大学法学部特任教授)は、いわゆるスト規制法のあり方の検討結果を記した報告書を取りまとめた。報告書は、現時点では「スト規制法を廃止できると判断するに足る変化があったと結論付けることは難しい」とした。電気事業及び石炭鉱業の労働者の労働基本権を実質的に制約するスト規制法について、存続の結論が示されたことは遺憾である。
2.労働基本権の重要性などを踏まえれば、スト規制法廃止が当然の帰結
連合は部会において労働基本権の重要性を踏まえ、スト規制法の廃止を強く主張したが、電力システム改革の影響を注視する必要があるとの理由で廃止の結論には至らず、労働側として反対意見を付さざるを得なかった。
憲法28条が定める労働基本権は労働者にとって根源的かつ重要な権利であり、全ての労働者に等しく保障されるべきことは言うまでもない。また、電気事業は他の公益事業と同様に労働関係調整法の規制に服するとともに、健全な労使関係のもとでの労働協約締結などを通じ、争議行為にかかる自主規制ルールなども整備している。これらを踏まえれば、屋上屋を重ねるスト規制法を存続させる合理的根拠は見出すことができず、同法廃止こそが当然の帰結である。
3.次期見直しでの廃止に向け、着実な取り組みを
報告書では、良好な労使関係と高い使命感によって今日の電力の安定供給が果たされている点は「公労使委員の共通した認識」であるとした上で、将来的なスト規制法廃止に向けた議論に向け、新たな場を設置して電力の安定供給のための労使の取り組みにかかる知見を蓄積していく旨も示された。連合は、こうした取り組みを着実に進め、次期見直しにおいてスト規制法を廃止し、電気事業及び石炭鉱業の労働者の労働基本権を保障することを強く求めていく。
以 上